『第173回 彼女の彼、彼の彼女 Ch.3…』

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3連休の温泉旅行でリフレッシュしたA。またもやワーカホリックな日々に戻るのか、などと思いながら連休の行楽帰りで若干渋滞する第三京浜を運転していた。温泉のお食事美味しかったわね、などと彼女は楽しそうに話していたが、以前の彼女の言葉がやはりまだ気になっていて音楽に無理に耳を傾けていた。そのせいで何となく相槌がぎこちなかったのだが、彼女は余り気付いていなかったようだ。

用賀インターを降りて環八に出た後も少しまだ混んでいたが、246に入った後、彼女の実家の深沢までは順調だった。帰宅予定だった20時を1時間半ほど過ぎてしまっていたので、自宅へ上がってお茶でも、と言う彼女の誘いを断り、玄関先に止めた車の中で、彼女といつも通りキスをして自宅へ戻る。彼女を下ろした後、彼女が嫌いと言っていた美里のCDを掛ける。

美里聞くと、昔の彼を思い出すのだとか言っていたなぁ。。。

なんてことを思いながら一人になった後はいつも最初に美里かミスチルのどちらかを掛ける。今日は何となく美里の気分だった。

そう言えば、ミスチルの何とかって言う曲も彼がカラオケで十八番だったから好きじゃないって言っていたなぁ。。。
なんて言う曲だったっけ。。。

思い出せないまま、Aはいつもどおりボリュームをかなり上げる。少し騒音に近いと思われるほどボリュームを上げているのは自分でも少しおかしいと思いながらも、自宅のマンションではできないために、大音量の中で何故かリラックスする自分に浸りたかった。一人で運転する車の中が唯一のリラックスできる場所だった。別に一人になったときしか聞けないからと言ってすぐさま美里を聞く必要などないのだが、今は何故だか随分古いCDを聞きたくなって古いアルバムをスロットに入れた。いくつか曲を飛ばして、ちょっと季節外れだなと思いつつ、サマータイムブルースから聞き始めた。このCDは車のボンネットに入れたまま暫く聞いてなかったものだった。

いつ発売されたアルバムだったかを考えながら、懐かしさを感じつつ住宅街から246へ再び出る。歌詞カードを見なくても口ずさめる曲の一つだった。何故か突然体が震えてきてしまった。知らないうちに涙が出てくる。涙が止まらなくなって三宿の交差点を過ぎたところで車を路肩に止めた。

見えない永遠よりも、、、
すぐそばの君と今日信じていた、、、
何かを変えていけたら、、、

彼女と結婚して一緒に時間を過ごすと言う永遠を選択しようとしている自分。頬を伝う涙の意味を考えながらハンドルに突っ伏して暫く考えた。

何でそもそも泣いているんだ?
確かに先は見えない。
けど、今まで誰とも結婚した事はないし、まだ30にもなっていない。
二人で少しずつ作り上げていけば良い筈だ。
知ったかぶりなんてする必要は無い。
そうだよ、結婚って幸せへのステップじゃないか?
よく言われるとおりホントに墓場なのか?
いや、そんなはずはない。
結婚は幸せの筈だ。
姉ちゃんを見ていると旦那と素敵にLAで暮らしているし、甥っ子は可愛いしな。。。

しかし、何故だか自分の結婚生活を想像すると彼女が隣にいる姿を想像できない…すぐそばにいるべき彼女が想像できない?そんな自問自答をしていた間もCDは流れ続けていた。

真夏のサンタクロース、どこにいる。
心は寒いクリスマス、、、

心が寒い?
それって自分か。。。

聞いてられなくなりそうでボリュームを小さくしようとしたのだがそれでもその時のAには残酷に思えてしまうフレーズが流れ続ける。彼女に対してこのまま婚約し続けて良いのか、などと言った罪悪感すら覚えてきた…

願うだけでは叶わない。
季節は待っても起こらない、、、

彼女との結婚生活を望んですらいないのか?
願うだけでも叶わないもの、願いもしなければ叶うわけがない。
いや、そんなことはない筈だ。。。

と心の中で自分に問い聞かせる。

彼女のこと好きだよな?
ん、彼女のこと、、、

どこが好きなんだ?

確かに表参道を二人で歩いている時、通り過ぎる男の半分は振り返る程彼女は綺麗でもあり、時折可愛らしい笑顔を見せてくれる。大人しい性格ながらも、二人でいる時は意外な程色々と大胆なこともする。この2泊3日の温泉旅行では、お酒の勢いを借りなくても自然と二人は肌を合わせられた、、、筈だ。

海外に行って、帰ってきたらリッチな生活ができる、、、

どうしてもその彼女の言葉から歯車が狂ってるような気がした。結婚って二人で少しずつ作り上げていくものだよな?歳が離れているからって一方的な状態で彼女を養っていくのって、、、理屈では専業主婦がこの世にいくらでもいるってことは分かっていても、どうしてもそう言う言葉を言う彼女の言葉が引っ掛かっていた。

何なんだ、おれは。。。
マリッジブルーか?

目を瞑ってから最初に浮かぶ女性は誰だろうと思って浮かべた瞬間ハッと気付いてしまった。

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Posted by xyzken